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2026.06.04研究

活性イオウ種による小胞体ストレス応答の新規制御メカニズムを解明した研究成果がRedox Biochemistry and Chemistry誌に掲載されました。

これまで当研究室の研究から、活性イオウ種として知られているポリスルフィド/パースルフィドなどのsulfane sulfur(スルファン硫黄)が、酸化ストレスやカルボニルストレスに対して神経細胞を保護することが分かってきました。一方で、小胞体(ER)ストレスに対するスルファン硫黄の役割、特にUPR(unfolded protein response)各経路のセンサーがどのようにレドックス修飾を受け、細胞応答を変化させるのかは十分に明らかではありませんでした。 本研究では、UPRセンサーの一つであるATF6に着目し、ポリスルフィドがATF6の小胞体内腔側システイン残基(Cys618)を過硫化(persulfidation)し、ジスルフィド結合性の多量体化を誘導することで、ATF6の核移行と下流の遺伝子発現応答(CHOPやBiPなどの誘導)を抑制する新しいレドックス制御機構を示しました。興味深いことに、一般にATF6経路の抑制はERストレスへの脆弱性を高め得ると考えられていますが、本研究条件下では、ポリスルフィドによるATF6経路の一過性抑制はツニカマイシン誘導性細胞毒性を増悪させませんでした。さらに、作用機序の異なるタプシガルギンでも同様の傾向が確認されました。 本成果により、反応性硫黄種がUPRセンサーを直接レドックス修飾して、ERストレス応答をUPRの各経路ごとに異なる形で調節し得る可能性が示され、ERストレスやカルボニルストレスが関与する疾患における新たな病態理解や、UPR経路の制御に関わる新しい分子メカニズムが解明されることが期待されます。

S Koike et al. Redox Biochemistry and Chemistry

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2773176626000143